金融緩和策に漂う虚しさ 体力すり減らした家計・銀行

【今週のマーケットエッセンシャル】第48号(2022年12月28日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

日銀が市場からの信頼を失いつつある。黒田東彦総裁が金融緩和からの「出口ではない」と強調しても、12月27日の金融市場では国債が売られ、日銀が抱える長期国債の含み損は過去最高の約8兆4000億円に膨らんだ。振り返れば、長期の金融緩和はさまざまな副作用をもたらした。地銀もバランス型投信も、リスク資産への運用を増やしたことが裏目に出て多額の損失を抱え、先行きが危ぶまれるようになったのだ。

金融緩和がよかったのかどうかは、もちろん立場によって異なる。多額の負債を抱えた企業や住宅ローンの借り手にとっては、大いに助かったに違いない。しかし、日銀の政策に背中を押されるようにして、リスク資産への運用に取り組んだ家計や地域銀行にとっては、とんだ誤算になった。結果的に経済が活性化しなかったため、ハイリスクかつマイナスリターンを余儀なくされたのだ。

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