銀行・証券明るい兆しも 新総裁に市場正常化を期待

【今週のマーケットエッセンシャル】第55号(2023年2月15日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

政府は2月14日、経済学者の植田和男氏を次の日銀の総裁に起用する人事案を国会に提示した。この日、銀行株の多くが上昇したのは金融政策の正常化によって、金融機関がビジネスをしやすい環境が整うと期待してのことだろう。証券会社も先週出そろった主要各社の決算を振り返ると、悪いながらも2022年4~6月期を底に、回復には転じてきた。ただ、金利が急に跳ね上がるリスクだけは注意する必要がありそうだ。

黒田東彦日銀総裁の任期は4月8日だが、2人の副総裁の任期が3月19日のため、白川方明前総裁同様、任期満了を待たずに辞任するかもしれない。総裁と副総裁の任期がずれているのは、1990年代後半に起きた大蔵省・日銀スキャンダルの余波だ。新体制の執行部(総裁と副総裁)が同じタイミングでスタートしたほうが、すっきりした門出になるだろう。

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