【今週のマーケットエッセンシャル】第57号(2023年3月1日公開)
主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)
米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が書いた「株主への手紙」が2月25日に公開された。投資会社バークシャー・ハザウェイの株主に宛てたもの。投資への警句などが散りばめられるなか、一つだけ、驚くべき単語が。自社株買いの否定論者を「経済的音痴」と呼んだのだ。確かに同氏は自社株買いに積極的なアップルにほれ込んでいる。ただ、すべての自社株買いを肯定しているわけではないことには要注意だ。
「考えてもみてくれ。地元の自動車ディーラーに3人の株主がいて、うち1人は経営に当たり、残り2人はただ株式を持っているだけの少数株主だとする。少数株主の1人が残り2人の株主にとって魅力的な価格で持ち分を売却するとしよう。この取引は誰かを傷付けますか。経営者株主に特段有利ですか。国民経済的にマイナスですか」。バフェット氏は「株主への手紙」で自社株買いの効果をこんなふうにたとえている。
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