【今週のマーケットエッセンシャル】第59号(2023年3月15日公開)
主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)
スタートアップエコシステムを動かしてきた米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻は、保有有価証券に含み損を抱えることの怖さを浮き彫りにした。日本でも内外金利の上昇を背景に、日銀や多くの銀行、生命保険会社が損益計算書に反映されない含み損を抱えている。金融機関が「守りの経営」に徹すれば、実体経済への資金供給が滞り、伸び悩み気味の上場企業の業績にも、さらなる下押し圧力となって働く可能性がある。
3月10日に突然、表面化したSVB銀行破綻のニュースは、世界の市場関係者を震撼させた。SVBは起業社会である米国で、スタートアップファイナンスの一翼を担っている。同行に預金口座を持つベンチャー企業も多く、米政府は慌てて預金保険の保証上限額25万ドル(約3300万円)にかかわらず、預金を全額保護する方針を決めた。
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