金利ある世界は追い風か 証券界、足元は増収増益

【今週のマーケットエッセンシャル】第92号(2023年11月1日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

証券会社の2023年4~9月期決算がほぼ出そろった。株式の売買代金が過去最高を更新していることを背景に、主要21社すべてが増収を記録し、減益は1社だけだった。しかし、10月31日の日銀の政策変更は日本が「金利がある世界」に近づいていることを示している。米国では金利上昇は証券会社にとって逆風だった。日本でも足元の追い風がやむ日が来る可能性がある。

日銀は10月31日の金融政策決定会合で長期金利の1%超えを容認することを決めた。この動きを受けて市場では10年国債利回りが一時0・955%と2013年5月以来10年5カ月ぶりの水準まで上昇し、早晩1%台に乗せる可能性があることをうかがわせた。5%近辺まで上昇している米国の長期金利に比べれば大幅に低いが、日本でも「金利がない世界」は終わりつつあるようだ。

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