【今週のマーケットエッセンシャル】第122号(2024年5月29日公開)
主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)
「地方銀行は大丈夫か」。長期金利が上がり始めると、必ずこんな懸念が語られる。しかし、銀行が保有する国債は現在、メガバンクの保有分も含め、国債発行残高の1・8%程度にすぎない。日銀に次いで大量の国債を持っているのは生命保険会社だ。それも金利が上がると価格が大きく下落する超長期国債に偏っている。経営の健全性に不安はないのか気になるところである。
国債の発行残高は1080兆円
日銀の資金循環統計によると、日本の国債(政府短期証券を除く)の発行残高は、財投債(財政投融資特別会計国債)を含めて2023年末で1080兆円だ。誰が持っているかを過去にさかのぼって調べると、かつては最大の保有者だった中小企業金融機関等(主として郵便貯金、以下同じ)が大きく後退し、まずは日銀、次いで生命保険会社が持っていることがわかる。
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