【今週のマーケットエッセンシャル】第141号(2024年10月9日公開)
主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)
投資資金の一部を上場前の企業に振り向けるクロスオーバー投資信託が日本でようやく動き出した。これまで上場企業の投資家と未上場企業の投資家とは分断されており、新興企業向け市場の株価低迷や、スタートアップが育たない一因とされてきた。9月に運用が始まった2本の投信に集まった資金は約560億円。もしうまくいけば、起業エコシステムを動かす起爆剤になるかもしれない。
野村アセットとレオスが設定
主に個人のお金を集めて運用する投信は、日々、投資家が購入したり解約(売却)したりするため、その値段が正確に決められないとトラブルのもとになる。取引所で売買されていない未公開株を組み入れた場合、日々の価格算定が難しいため、これまでは組み入れ銘柄の長期保有を原則とし、顧客にも積み立てや長期保有を促している鎌倉投信の「結い2101」が資金の3%程度を振り向けているだけだった。
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