大凶だった三菱とトヨタ 貸金庫リスクが明らかに

【今週のマーケットエッセンシャル】第151号(2024年12月18日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

三菱UFJ銀行が貸金庫から顧客の財産を盗むという内部犯行事件について、12月16日に初めて記者会見をした。今後、窃盗の手口や賠償問題、再発防止策などに焦点が移るだけならば、事態は収拾に向かうが、もし「貸金庫が正しく使われているのか」という問題に発展すると、脱税マネーがあぶり出されたり、顧客の不正行為が明るみに出たりしかねない。やっかいな問題に発展する恐れがある。

現金の格納は規定違反

顧客が貸金庫に入れていた現金や貴金属が窃盗の被害にあったとのことだが、三菱UFJ銀行の貸金庫規定では、現金は貸金庫に格納できないはずだ。第2条第1項に、貸金庫に格納できるものとして、①公社債券、株券その他の有価証券②預金通帳・証書、契約証書、権利書その他の重要書類③貴金属、宝石その他の貴重品④①から③に掲げるものに準ずると認められるもの、と明確に書いてある。

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