幕が開けたM&A相場 買い手は自社株買いだけ 

【今週のマーケットエッセンシャル】第154号(2025年1月8日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

2025年の東京株式相場の幕が開けた。企業業績の伸び悩み懸念が漂うなか、株価を押し上げる要素があるとすれば、活発なM&A(企業の合併・買収)だ。実際にM&Aに踏み切るかどうかはともかく、企業は不本意な買収提案を退けるために、株価を上げることが近道だとの判断に傾いている。ただ、需給面では自社株買い以外にこれといった買い手は期待できない。

日本製鉄案件で3つの教訓

M&A相場の到来と言いながら、年初から、これに歯止めをかけるニュースが報じられた。日本製鉄によるUSスチールの買収計画に対し、バイデン米大統領が1月3日、阻止するとの命令を下したのだ。経済合理性が疑われる米政府の決定に対する両社の反発は強く、米政府を提訴する方針だが、えられた教訓は多い。

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