日本が日本でなくなる日 出生数減少が未来を暗示

【今週のマーケットエッセンシャル】第162号(2025年3月5日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

少子高齢化は日本の先行きを重苦しくしている。厚生労働省が2月27日に公表した2024年の出生数を細かく点検すると、来世紀には日本が日本人の国ではなくなる可能性が大きいことがわかった。外国人が人口の過半を占めそうなのだ。となれば、企業も「100年の計」を念頭に、真のグローバル企業への転換を急ぐ必要があるのではないだろうか。

すべては制度の延命のため

「103万円の壁」の引き上げ論議がさらに複雑な制度の導入に結び付いたこと、高額療養費制度の自己負担限度額引き上げ方針が短兵急に打ち出されたこと、国民医療費の年4兆円削減が検討課題になったことなど、いずれも財政が健全ならば、ありえないことだ。空っぽの米びつを前にして、議論を積み重ねる余裕もない。財政や社会保障制度を延命させるために、「取れるところから取る」と政府が国民に牙をむいたイメージだ。

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