【今週のマーケットエッセンシャル】第170号(2025年4月30日公開)
主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)
東京証券取引所が株式の投資単位(最低投資金額)を10万円程度に引き下げるよう上場企業に要請する。単元株を10万円程度にしたうえで、単元株制度を廃止し、1単元株を1株と読み替えれば、欧米同様、1株単位の売買が実現し、1株の株主から議決権が行使できるようになるからだ。実現のカギを握るのは、超値がさ株を発行する企業が投資単位の大幅引き下げに同意するかどうかである。
単位株も単元株も過渡的な制度
そもそも1株の株主に議決権を付与しないのは、株式市場の制度として本来の姿ではない。実際、1981年の商法改正までは売買単位は1000株とする企業が多かったが、買い手が1株ずつ分けるのは自由で、それが公害企業などに対する1株株主運動が盛んになる背景にもなっていた。
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