【今週のマーケットエッセンシャル】第175号(2025年6月4日公開)
主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)
身勝手といえばそれまでだが、トヨタグループの源流企業で戦後、1949年の東京証券取引所再開時から上場していた豊田自動織機が非公開化することになった。まだ同社は含まれていないが、東証の統計では2025年に入って上場を廃止したのは、6月末までの廃止予定を含めて58社。株式の買い取りに多額の資金を投じてでも市場を去っていくのは、上場を続けること自体が経営上のリスクとみているからかもしれない。
1株1万6300円でTOB
トヨタグループの発表によると、豊田自動織機株の公開買い付け(TOB)は12月上旬にも実施される予定で、買い付け価格は1株1万6300円。自己株式(金庫株)を除く発行済み株式は約3億株なので、単純計算すると、総額約4兆9000億円の取引となる。ただ、豊田自動織機株を7410万株(24・66%)保有するトヨタ自動車はTOBに応募する代わりに、保有株を1株1万3416円で豊田自動織機に売り渡す(取得総額9941億円)ため、実際の取引規模は約4兆7000億円になる計算だ。
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