「毎月分配型」流出止まる 金融庁も毛嫌いを改めよ

【今週のマーケットエッセンシャル】第24号(2022年7月13日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

あのとき金融庁は毎月分配型投信を市場から締め出すぐらいの勢いだった。「顧客本位ではない」。こう言って十把一絡げで商品性に激しい非難を浴びせたからだ。確かに、月々の分配金を膨らませるために、売る側も買う側も理解できないような複雑な商品が増えた点は、業界も反省する点があるだろう。しかし、「毎月分配」への顧客ニーズは確かにあり、その商品ジャンルに公正な評価を与えていれば、高齢者の「貯蓄から投資へ」はもっと進んでいたのではないか。

インターネットを検索すると、5年ほど前、毎月分配型投信を批判する金融庁の姿勢に乗じて、多くの「専門家」がこの商品に激しい非難を浴びせていた。「毎月分配型のわなにかかるな」「毎月分配型投信が損をする仕組み」「やってはいけない、非合理な投資」という具合だ。銀行や証券会社は慌てて取り扱いを控え、個人マネーは2017年から2021年まで5年連続で毎月分配型投信から流出した。


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