誤算に終わったAコース お任せ運用が円安で明暗

【今週のマーケットエッセンシャル】第25号(2022年7月20日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

大和証券はお任せ運用の顧客の76%が10%以上のリターンをあげているのに、三菱UFJ信託銀行では80%が元本割れになっている。投資商品の損益に関するこんなデータが最近、全国の金融機関から公表された。意味不明な指標だと批判されつつも、金融庁が2018年から各社に公表を求めている共通KPI(重要業績評価指標)である。明暗が分かれた主因は外国債券での運用だ。為替ヘッジ付きのAコースを選んだ場合に、円安の恩恵を受けられないまま、金利上昇のリスクだけを被ったという。

共通KPIは3月末時点で投資信託やラップ口座を保有している顧客のうち、何パーセントが利益を出しているのかを示すものだ。当初から業界内外で(1)利益が出て投信を3月末以前に売ってしまった顧客がカウントされないのはおかしい(2)この数値の大小から、口座を開いて儲かる期待度を予想するのは不可能、などの批判を浴びていた。

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