【今週のマーケットエッセンシャル】第37号(2022年10月12日公開)
主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)
国際通貨基金(IMF)が10月11日に公表した新しい世界経済見通しは、ゲオルギエバ専務理事が10月6日の講演で「警告」していたほど暗くはなかった。2022年の成長率は3・2%で据え置き、2023年を2・9%から2・7%へ下方修正しただけだった。しかし、世界の債券市場では16カ国・地域で長期金利が短期金利よりも低い「逆イールド」となり、景気後退局面入りを予感させている。IMFのいう通り、「最悪はこれから」かもしれない。
2022年の見通しが全体として据え置きになったのは、米国の成長率が3カ月前の2・3%から1・6%へ、インドが7・4%から6・8%へ大幅に下方修正された一方で、ユーロ圏が2・6%から3・1%へ、新興・途上国が3・6%から3・7%へそれぞれ上方修正されたからだ。しかし、2023年については、成長率が2022年よりも高くなりそうなのは中国だけ。インフレ抑制のための金融引き締め政策のもとで、世界経済に重苦しいムードが充満しそうなことを予感させる。
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