米国の超長期国債は買いか 損益分岐点はかなりの円高

【今週のマーケットエッセンシャル】第38号(2022年10月19日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

10年も20年も先の為替相場などは誰にも予想できないから、話半分にして聞いてほしいが、例えば2046年満期の米国の超長期国債をいま買うと、円が1ドル=75円になっても、元利金の合計額は元本を上回る。しかし、個人顧客にこうした商品を案内している証券会社は少ない。ノックイン条項付きの仕組み債など複雑な商品を無理して販売するよりも、もっと基本的な商品の品ぞろえを強化し、証券業本来の役割を果たすべきではないだろうか。

日本では満期償還までが10年超の国債は、一般の個人が買うことができない。ある債券市場の専門家の話では、国民の多くは金利が上がると債券の価格が下がることを知らないので、証券会社はトラブルを警戒して取り扱わないのだという。金利と価格の関係は2022年度から全国の高校で教え始めたので、販売できるのは金融教育を受けた生徒たちが社会人になってからなのだそうだ。

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