日本経済とバフェット氏 「吸い殻」投資で始まる復活

【今週のマーケットエッセンシャル】第58号(2023年3月8日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏による日本の商社株投資が公表されたのは、2020年8月31日だった。それから2年半、ざっと計算しても約7000億円の元本に対し、評価益は7000億円を超え、大成功だった。かつて「日本株にはたばこの吸い殻ほどの価値もない」と語っていたバフェット氏がなぜ手を出したのか。もし日本経済に吸い殻ほどの価値があれば、日本再生の手掛かりが得られるかもしれない。

バフェット氏が1998年に米フロリダ州で開かれた経営学専攻の学生らとの議論で、日本株無価値論を語ったとの話は、2020年9月26日付の英エコノミスト誌に紹介されている。日本株は「道ばたに捨てられたたばこの吸い殻にも値しない」と、見向きもしない理由を語っていたのだ。この「吸い殻投資」、同氏の投資の奥義でもある。

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