GPIF3兆円の黒字確保 SVB破綻が実は追い風

【今週のマーケットエッセンシャル】第62号(2023年4月5日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

シリコンバレーバンク(SVB)の破綻に端を発した金融不安は、日本経済にとって悪い話ばかりではない。世界的に金利が落ち着いたため、3月末にかけて外債評価損が減少し、株価も上昇した。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1~3月期に10兆円を超える運用益を確保したもようで、地域銀行の外債評価損の拡大にも歯止めがかかった。少なくとも短期的には日本は一息ついたことになる。

2022年度のGPIFの運用は4~6月期が3兆7500億円の赤字、7~9月期が1兆7200億円の赤字、10~12月期が1兆8500億円の赤字だった。2023年1~3月期も含めた年度の収益は7月初めに公表される見込みだが、内外の株式と債券の4つの資産の運用がベンチマーク通りだったと仮定すると、1~3月の運用損益は10兆4000億円程度の黒字となり、年度通算の収益額は3兆円前後に達したもようだ。

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