黒田前総裁なぜ低評価 株価上がるも不安も募る

【今週のマーケットエッセンシャル】第63号(2023年4月12日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

日銀総裁が黒田東彦氏から植田和男氏にバトンタッチした。株価が日本経済の代理変数とするならば、黒田前総裁の出来栄えは上々だったが、なぜか退任にあたってのマスコミの論調は手厳しい。大量に国債や株式を購入した後始末への道筋が立たず、日本の将来を不安に思う国民が増えたことや、格差拡大を放置したことが批判につながっているようだ。いくつかの図表で過去10年の日本経済を振り返ってみた。

黒田氏が白川方明前総裁の残り任期を引き継いで日銀総裁に就任したのは、2013年3月20日だった。何でも先取りする株式相場が動き出したのは、民主党の野田佳彦首相(当時)が衆院解散の意向を表明した2012年11月14日前後からだ。そこでその直前の週末の2012年11月9日を起点して、直近までの世界の株式相場の騰落率ランキングを作ってみた。

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