証券会社は我慢の日々 「手数料より残高」道険し

【今週のマーケットエッセンシャル】第67号(2023年5月10日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

証券会社の個人営業の収益源は大きく2つある。手数料収入と残高報酬だ。手数料収入はオンライン証券との競争が激しいうえに繁閑の波が大きく、当局からも何かと回転営業だと批判される。そこで大手証券は営業改革と称し、投資信託やラップ口座などの残高に比例する報酬の獲得に力を入れている。野村証券や大和証券は営業収益のほぼ半分が残高報酬になった。しかし、利益が伴わないことが悩みの種だ。

正式な決算発表に先立つ速報値なども含めれば、主要証券会社の2023年3月期決算はすべて出そろった。先週の本稿で触れなかったSBI証券は純営業収益が2022年3月期比2・9%増の1615億7000万円、純利益が3・6%増の414億6700万円だった。筆者が継続的に点検している14社のうち11社は減収減益、3社は増収増益となった。

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