創造的破壊は起きるのか なお低い企業の新陳代謝率

【今週のマーケットエッセンシャル】第80号(2023年8月9日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

日本に限った話ではないが、新型コロナウイルスの流行下で公的支援を受けて延命してきた企業の経営破綻が相次いでいるという。これを前向きにとらえれば、日本の長年の課題だった経済の創造的破壊が起きているとも考えられる。ただ、厚生労働省の最新統計をみると「破壊」はともかく、「創造」が増えている様子はない。株価押し上げにつながるかどうかも微妙だ。

東京商工リサーチが8月8日に発表した7月の全国企業倒産状況によると、倒産件数は前年同月比53・4%増の758件、負債総額は同91・7%増の1621億3700万円だった。1~7月の累計倒産件数は4800件で、年末までこのペースが続くと、2023年の倒産件数は8230件前後と2022年を28%ほど上回りそうだ。

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