株価上がるも副作用深刻 PBR向上要請から半年

【今週のマーケットエッセンシャル】第87号(2023年9月27日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

東京証券取引所がプライム市場とスタンダード市場に上場する約3200社に株価純資産倍率(PBR)の向上を要請してから半年が過ぎた。株価が上昇し、PBR1倍割れ企業が減少するなど確かにプラス面はあった。しかし、「PBRが低いのはすべて企業の責任」とみなされるようになり、あたかも企業が「金融商品」になったように語られるなど、マイナス面も多かった。

東証によるPBR向上要請の発端は、2022年4月に実施した市場区分の見直しの実効性が「看板の付け替えに過ぎないのではないか」などと否定気味に語られたことだ。プライム市場で半分近い企業のPBRが1倍を下回っている状況を何とかしたいという方向に市場関係者らの議論が発展し、「取引所がそこまでいうのはおかしい」などという反対論を振り切って、実行に移した経緯がある。

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