日銀含み損が15兆円突破 バラマキは危機広げる

【今週のマーケットエッセンシャル】第91号(2023年10月25日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

施政方針演説で「経済、経済、経済」と強調する岸田文雄首相は、いったい何をしようとしているのだろうか。足元では日銀が保有する長期国債の含み損が過去最高を更新中だ。その金額、何と6月23日現在で15兆1600億円。金融政策が綱渡りなのに、バラマキを繰り返していて、金融市場がどこかで癇癪(かんしゃく)を起こす気がしてならない。株式相場もひやひやしている。

日銀のバランスシートは「営業毎旬」の名称で10日ごとに公表され、簿価ベースの債券保有額が明らかになる。10月24日に公表された20日現在の営業毎旬によると、長期国債の保有額は588兆6473億3773万円だった。過去最高は8月31日現在の593兆6700億円だが、その後の新規購入が満期償還よりも少なかったため、こころもち減少した。

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