日銀保有国債600兆円に それでも景気腰折れ懸念

【今週のマーケットエッセンシャル】第97号(2023年12月6日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

日経平均株価は12月5日に455円も下落し、年末に向けての株高期待が薄れている。長期金利、消費者物価指数、景気マインド、ついでに内閣支持率まで右肩下がりで、景気拡大のモメンタム(勢い)が失われたような感じだ。日銀が景気浮揚のために買い付けてきた長期国債の残高が600兆円乗せまであと一歩に迫ったのにこのありさま。日本の成長シナリオが霞んでいる。

総務省が12月5日に発表した11月の東京都区部の消費者物価指数(中旬速報値、2020年=100)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が前年同月比2・3%上昇と、2022年7月以来16か月ぶりの低い水準にとどまった。インフレに苦しめられた消費者にとっては明るい話題のはずだ。しかし、株式市場の参加者はそこに景気回復力の乏しさを感じ取った。

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