終わるか「失われた30年」 課題は最高値更新の後

【今週のマーケットエッセンシャル】第104号(2024年1月24日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

「秒読み段階」というのは早すぎるかもしれないが、日経平均株価が3万6000円台を回復し、早晩、1989年末に付けた最高値3万8915円を更新する可能性が高まっている。当時と今の株式の時価総額ベストテンを比べると、明らかに日本経済の構造は変わった。ただ、米国のように社会に大変革をもたらすような企業は誕生していない。仮に最高値を更新しても、そこで力が尽きるのではないかと心配だ。

1989年末以前に生まれた人は2023年末現在で34歳だ。総務省の人口推計によると、2022年10月1日現在で33歳以上だったのは日本人人口の約71%だから、約29%はバブルの頂点の後に誕生した。1989年末を20歳以上で迎えた人は日本人人口の約45%だ。つまり、約55%の人たちは社会人としてはバブルのピークを体験していない。だから今の株高を怖いとは感じないのだろう。

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