負の金利解除に動く日銀 景気回復の鈍さは気がかり

【今週のマーケットエッセンシャル】第111号(2024年3月13日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

日銀の金融政策決定会合が3月18~19日に迫り、市場関係者はいつになく神経質になっている。黒田東彦前総裁が2016年1月末に導入したマイナス金利政策が8年ぶりに解除される可能性があるからだ。実際にマイナス金利が付いている日銀当座預金はごくわずかだから、「象徴的な意味合いにすぎない」との声も多いが、日銀が動くと何が起きるか、プロでもなかなか読めないのだ。

多くの消費者が物価上昇に困惑しているのをよそに、日銀がこれまで金融引き締めに慎重だったのは、本当に日本経済のデフレ体質が改まったのか、確信が持てないかったためだ。政府もデフレ脱却宣言を発するかどうか「検討」している段階だ。ただ、植田和男日銀総裁は2月22日の衆院予算委員会で、日本経済は「デフレではなくインフレの状態にある」と発言し、政策変更の可能性を匂わせていた。

コメント

コメントを残す