市場歪めた政策に終止符 日銀の役割が本来の姿に 

【今週のマーケットエッセンシャル】第112号(2024年3月20日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

日銀が株高を利用して一気に金融政策を転換した。3月18~19日に開催した金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除、長短金利操作(YCC=イールド・カーブ・コントロール)の撤廃、上場投資信託(ETF)の買い入れ終了に一気に踏み切った。市場の決定に委ねるべき分野にまで立ち入り、市場を歪めてきた政策がようやく終止符を打った。中央銀行本来の姿に回帰したともいえる。

株価上昇を味方に決断

2010年12月にETFの買い入れに踏み切ったことを皮切りに、日銀はこれまで市場への価格決定に積極的に関与してきた。本来、投資家はリスクをとる代償としてリターンを得るチャンスが与えられるが、それを日銀が横取りするような政策が続き、日本経済は躍動感を失ってきた。といってもやめることへの政治的な反発もある。今回、事前予想を上回る大幅な政策変更ができたのは、年初来の株価上昇が味方をしたためだろう。

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