【今週のマーケットエッセンシャル】第115号(2024年4月10日公開)
主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)
日銀は3月18~19日の金融政策決定会合で、金融政策の正常化に舵を切ったが、保有する時価約72兆円の上場投資信託(ETF)をどう処分するかはなお頭の痛い問題である。民間金融機関の年間8兆円もの株式売却は市場で吸収できているのだから、何年かに分ければ売れないはずはない。ETFにかかる信託報酬約330億円の出費を抑えることも急務だ。
日銀のバランスシートには取得価格ベースの残高が載っている。2023年9月末現在で37兆1160億円だ。この1年間に日銀がETFを新規に取得したのは、2023年10月4日の1回だけだったため、2024年3月末現在でも701億円が増えただけだと思われる。時価ベースの残高は、中央銀行による投信受益証券の保有額を資金循環統計でみると、2023年12月末現在で63兆2440億円だった。
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