金融所得を保険料に反映? 理念はわかるが現実的か

【今週のマーケットエッセンシャル】第118号(2024年5月1日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

医療・介護保険制度の行き詰まりを打開するため、金融所得の多い人から多めの保険料を徴収する案が浮上している。自民党内のプロジェクトチームが4月25日に開いた会合に、厚生労働省が検討案を提示したという。その前に制度の運用面の無駄をなくせといいたいところではあるが、どちらにしても誰かが不足分を埋めなければならないとすれば、他に妙案も見当たらない。ただ、本当に実現可能かは疑問符が付く。

源泉徴収口座でも確定申告

検討の舞台は自民党の「医療・介護保険における金融所得の勘案に関するプロジェクトチーム」(座長・加藤勝信前厚生労働相)だ。2028年度までに結論を出すという。現在、国民健康保険や75歳以上の後期高齢者医療保険、介護保険に加入している人は、金融所得を確定申告した場合に限って、医療・介護保険料の上乗せ要因になる。これを源泉徴収口座(源泉徴収ありの特定口座)で取引をし、確定申告をしない場合にも広げようというのだ。

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