1兆円ファンド悪かったか 問われる買い手の眼力

【今週のマーケットエッセンシャル】第178号(2025年6月25日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

野村グループが過去25年間、総力を挙げて運用してきた「1兆円ファンド」がついに相場表から消えた。別のファンドとの併合を機に、名称を仰々しい「ノムラ日本株戦略ファンド」から、平凡な「野村国内株式アクティブオープン」に変更したためだ。冷静に振り返れば、リターンは銀行の定期預金を大幅に上回り、アクティブ運用投信として悪くはなかった。間違ったのは投信の商品性や運用報酬の高さを見極めずに購入し、過剰期待を抱いた買い手のほうだ。

1年定期の25倍の運用収益

この投信が設定された2000年当時の消費税率は5%だったから、最初の募集で購入した買い手は購入代金のほかに、税込み3・15%の販売手数料を出していた。つまり、1万口を買うに当たって1万315円を払っていた。それが「日本株戦略ファンド」としては最終日だった6月18日には1万5967円になっていた。ほかに分配金が12回、合計で1630円支払われていた。

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