世界経済屈折のリスク IMFが見通し下方修正

【今週のマーケットエッセンシャル】第26号(2022年7月27日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

世界経済はいよいよ下方に屈折するのではないか。こんな予測を盛り込んだ世界経済見通しが日本時間の7月26日深夜、国際通貨基金(IMF)から発表された。ロシアのウクライナ侵攻がエネルギーや食料品の価格を押し上げ、欧米の中央銀行が金融引き締め策を強化しているからだ。先々の世界経済の体温を占う米国の超長期債の利回りは低下に転じた。世界経済の「複雑骨折」のリスクが株式相場から浮揚力を奪っている。

IMFは3カ月に一度、世界経済見通しをアップデートしており、今回公表したのは2022年7月版。新型コロナウイルスの感染症からの脱却をにらんだIMFの見通しは、1年前に公表した2021年7月版が最も明るく、その後は発表のたびに微妙に下方修正をしてきたが、今回はダメ押しのような下方修正となった。世界全体でも、地域別でも、国ごとでも大幅な下方修正が目立っている。

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