今度も赤字100億円 顧客若返りへ野村が大攻勢

【今週のマーケットエッセンシャル】第27号(2022年8月3日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

800万対535万。前者は楽天証券の口座数、後者は野村証券の口座数だ。片や小口、片や大口。しかし、片や若く、片や老いている。人間はだんだんと年を取り、やがて消えていくから、放置しておけば、将来の証券界の勢力図は大幅に塗り替えられるだろう。そんな展開は許すまいと、野村証券は別働隊のLINE証券に追加出資し、若年層の口座獲得への大攻勢に出ている。先行投資に伴う赤字は2期連続で100億円を超えた。もう後には引けない。

誤解を招くといけないので、冒頭に掲げた数字の集計基準の違いを説明しておく。楽天証券は2022年6月20日現在の証券総合口座全体の数、野村証券は5月末現在の営業部門の残あり顧客口座数だ。だから「稼働口座」という観点でみると、8対5ほどの差はないかもしれない。ただ、3年余り前の2019年3月末でも野村証券には534万の口座があった。片や楽天証券は320万。勢いの違いは明白だ。

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