終了?米国の株上げ装置 年1兆ドルの自社株買い

【今週のマーケットエッセンシャル】第36号(2022年10月5日公開)

主筆・前田昌孝(元日本経済新聞編集委員)

世界の投資家にとって散々だった9月が終わり、米バークシャー・ハザウェイなど著名な投資会社の株式運用も2022年7~9月期は3四半期連続の損失に終わったようだ。これは混乱の序章にすぎないかもしれない。何しろ年1兆ドルを超えた米主要500社の自社株買いが、金利の上昇を受けて難しくなりそうだからだ。「自社株買いは株価にプラス」といった誤解そのものが崩れる要因にもなりかねない。影響は広範囲に及ぶだろう。

本稿では後半部分で、日銀の保有国債の含み損が金利上昇に伴ってどう膨らむかも試算している。なぜ日銀が利上げに動かないのか、この数字を見るとよく理解できるかもしれない。日本個人投資家協会のホームページにも結論部分は無料記事として掲載したが、日本経済は現在、「板子(いたこ)一枚下は地獄」といっても過言ではない状態なのだ。

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